K 織物株式会社 + K 邸
東京都八王子市
RC造3階建ての事務所兼住宅です。
敷地の北東に立つ泰山木(モクレン科の常緑高木)と既存住居の一部を残しての建て替えでした。
外壁のベージュ色の部分は、イギリスのコッツウォルズ地方で採れる蜂蜜色の石貼りで、コンクリート打放しにはステンレス製の目地が入れてあります。
雨水排水の設計しながら、雨の日だけに現れる美しい風景をつくりたいと考えました。
石貼り部分に掛かっている曲面屋根に降る雨は、横樋を伝い、鮟鱇から地面の雨落ちに向かって流れ落ちます。
コンクリート部分の2階テラスに降る雨は、ガーゴイルから放流されます。
コンクリート打放しの外壁に走るステンレス目地 は、縦糸と横糸を織り込んでいた、御施主様の織物会社の嘗ての御仕事へのオマージュでもあります。月夜に光る其の姿は好評で、提案させて戴いて良かったと思いました。
コンクリート打放し自体も、とても綺麗に仕上がっています。表面は、場所によって配合を変えた補修材を使って肌理を整えています。
エントランス脇にも、目地を延長させ、丸い形の飾り金物を設えました。糸巻き車をモチーフとして設計したものです。表札は、以前からお使いになっていたものにケヤキの額縁をつけてコンクリートに埋め込むように設置しました。
一階はK織物株式会社さんの事務所、2、3階は住居となっています。
事務室の吹抜を上がる階段と、大きな庇の下から泰山木に向かうようにのぼる外階段で、仕事場と住まいを繋いでいます。
エントランスには外部から続く土間があり、正面に土足のまま使えるお客様との打合せスペース、左に役員室と応接室、右に事務室というつくりになっています。
敷地に昔から立っている泰山木は、御施主様ご家族が大切になさっている木でした。
階段に掛かっている屋根を支える柱は、泰山木と並んで調和するよう丸みを帯び、上部では枝分かれしている柱としました。
枝に見えるのは機能的には樋で、柱の背割れの内部に竪樋を仕込んでいます。
2、3階には、2つのLDKと水廻りとトレーニングルームがあります。ご家族は主に南側のLDKで生活をされ、北側のLDKは来客時のゲストルームとして使われます。
K 織物株式会社 + K 邸 所在地:東京都八王子市
構造・工法:RC壁構造 敷地面積:1012.31m² 建築面積:282.13m² 延床面積:605.71m² 竣工:平成20年
2階曲面屋根 トラスウォール
2階の曲面の屋根は、トラスウォール工法でつくりました。
構造用鉄筋を組み込んだ成型鉄筋トラスと三層ネットを用いることによって、曲面、急勾配面等を短期間で、容易に施工することができる工法で、鉄筋工事と型枠工事を同時に施工する合理的な工法でもあります。