Nabeno-Ism
東京都台東区
ミシュラン三ツ星・ジョエル・ロブション元総料理長の渡辺雄一郎氏がシェフを務める隅田川に面したフレンチレストランです。東京都建設局の「かわてらす」事業の、隅田川の第一号でもあり、2階にはテラス席も設けられています。
お店のイメージカラーのオレンジとロゴマークが渡辺シェフから伝えられた時に設計も波に乗って進んで行きました。
設計打合せは終始一貫たのしく盛り上がり乍ら進み、現場の職人さんにも恵まれた仕事でした。
Link : Nabeno-Ism 公式ホームページ
1階にエントランスとガラス張りの厨房、2階には客室とテラス、3階は客室、4階はテラスという構成になっています。
敷地は、南北面が隣地に接し、西面は道路、東面は河川管理用通路に接しているため、西側の5.4mの間口に避難階段と避難バルコニーを確保しなければなりませんでした。加えて、ダムウェーター、トイレ、パントリーを確保しながら、客席数を最大限確保することが設計の初めの要となりました。最終的に、客席は、2階には室内に10席、テラスに12席、3階にはテーブル席8席、カウンター席5席となりました。
2階のテラスでは、隅田川を間近に見下ろしながら、食事を楽しむことができます。
2階の客室は、壁、天井共にアンティコスタッコ仕上げ、床はナベノイズムのテーマカラーのオレンジ色の輸入ものの絨毯が敷かれています。天井は、川の流れを意識してデザインしたもので、スピーカーや空調や換気機器の制気口を隠すように凹凸を付けて工夫しました。
奥へ進むと、テラス席があります。このテラスは、東京都が、隅田川の水辺の魅力向上と地域の活性化のために、水辺で飲食が楽しめる「かわてらす」をつくることを推進している際に、御施主様がご応募され、度重なる協議の結果、実現に至りました。テラスは堤防の上に張り出しており、川風にあたりながら気持ちよく過ごせる場所になっています。
3階の客室は、壁にはナベノイズムのテーマカラーであるオレンジ色のアンティコスタッコと黒い大理石が主に使われています。天井はチークの木を使いました。隅田川に面した窓際にはカウンター席があります。
Nabeno-Ism 所在地:東京都台東区
構造:S造 敷地面積:65m² 建築面積: 54m² 延床面積:184m² 竣工:平成28年
様々な石の張り方
写真 上は2階トイレの壁の大理石です。
便器に向かって立っている時と、便器に座っている時との夫々の目線の高さで壁に異なる凹凸を付け、デザインを変えています。
写真 下は3階客室壁の大理石です。落ち着いて食事 を楽しめるように、大理石の仕上げは基本的に、照 明や人の動きが映り込まないマットな質感の水磨き としました。座っている時のアイレベルには、 アクセントとして本磨きの石を規則的に入れています。
特注ワインセラー
2階と3階の客室共に、ステンレス製の特注ワインセラーを設置しました。ワインそのものがディスプレイとなるように、扉はガラス張りになっています。
赤ワイン、白ワインそれぞれに適温で保存できるように区分けしてあります。
4階テラスの壁面緑化
ペットボトルを利用した壁面緑化で、(株)みどりの産業さんの特許システムです。
大量に出る使用済みペットボトルの再利用を模索し ながら、研究の結果産み出された仕組みだそうです。ペットボトルを使用しているので軽量、ローコストのうえ、1本1本仕切られているので、雑 草も生えにくく、病気も隣に移りにくく、植物は 元気に育つことができます。
ロゴマーク
ロゴマークは、渡辺家の家紋を元に渡辺シェフが考案されたものです。
三つの丸は三ツ星、別名「三団子」と言い、神に備 える大切な物とされ、中国では将軍星と呼ばれるオリ オン座を指すそうです。その三ツ星の下の「一」には「勝つ」と言う意味が有り、その二つを合わせて「戦に勝つ」という意味で遠い昔に作られた家紋とのことでした。そこから発案されてお店のロゴマークが決まって行ったのでした。
ロゴマークは、厨房の壁や什器にライン状にあしらわれていたり、外壁に看板として付いています。
随所にロゴマークをちりばめたいという御要望を戴き、原寸の試作でご提案のうえ現場確認をして決めて戴きました。